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漢方生薬 蟾酥(センソ)

■蟾酥(センソ)配合漢方薬6、律鼓心
救心の主成分センソは、簡単にいえば、ガマの油ということになります。
学問的に説明すれば両生類、無尾目、ヒキガエル科のシナヒキガエル(アジアヒキガエル) Bufo bufo gargarizans CANTOR またはヘリグロヒキガエル Bufo melanostictus SCHNEIDER の耳腺(耳下腺、皮脂腺)の分泌物を集めて、写真のように成形したものです。1匹あたり、わずか数十mgくらいしか分泌液は採れず、さらに、乾燥すればほんの数mgにしかなりません。分泌液は、はじめ白色ですが、空気によって酸化して黒褐色になります。

蟾酥

センソには強心作用をはじめ種々の薬理作用が報告されていますが、動物博士として名高いムツゴロウ先生こと畑正憲先生の著書から、ガマの油に関するくだりをお読みいただき、これにそって薬理作用を説明していきたいと思います。
ターラリ、タラリ、ガマの油は、徐々にしみ出してくるものと相場が決まっているようだ。

油を分泌する皮脂腺は、耳のうしろに一対ある。後頭部に少し盛り上がった所があり、ポツポツと穴があいているところがそれである この皮脂腺は、常時働いているが、私の乏しい経験から推すと、生殖シーズンにもっとも分泌が盛んになるようである。もっとも恋の季節に粘液の分泌が盛んになるのは、動物一般の傾向ではあるが…。

何故この粘液があるのか?それをカエルの生態に結びつけて結論を出した人はいない。有名なのは、人の薬として古くから使われてきたことである。しかし、それもガマの風貌から連想された薬効であり科学的な根拠は薄いようだ。人間という動物は、根は臆病なくせに、変わったもの、グロテスクなものをすぐに薬にして服用したがる。イモリの黒焼き、マムシ酒、皆このたぐいの薬である。

ガマの油に発汗防止剤が含まれているのは確かだ。微妙な指先の感覚にたよるバイオリニストは、その昔、これを手に塗って演奏したといわれている。

徹夜で観察を続けていた頃のこと。この背中から吹出す(ターラリ、タラリではない、どっと出てくる)白い粘液の誘惑に耐えきれなくなって、どっぷり指先につけてなめてみた。舌が曲がり、部屋を二、三度駆け回りたくなるほどの猛烈な苦さだった。しまったと思ったが、しぶい顔はできない。せっかくの珍味を一人占めしては造化の神に申し訳ないので、私は精いっぱいニッコリ笑うと、「うまい。こいつはいける」と舌なめずりをしてみせた。

半信半疑で手を出した仲間は、だが、すぐに、「その手には、のらないよ」と、手をひっこめてしまった。シビレエイの発電器で前にこりているからだ。

シビレエイを開くと、中に手のひら大の白い発電器官があってまるで豆腐を思わせるつややかな外観を持っている。こいつはいけると料理したが最高の不味(まず)さ。ヒトデを食ったときの方がまだましだった。その時、わたしのいかにも美味しそうな表情につられて全員が箸をつけたが、食いもののうらみは恐ろしい。それ以後美味しいものをすすめる時には、まず逆に不味(まず)そうな顔をしなければならないようになった。

カエルの粘液は、苦かったが、不思議にからだがシャンとなり、元気が出てきた。後日、このエキスから強心剤が発見されたという報告を読んだが、さもありなんである。あの日、わたしだけが好調に徹夜を乗り切ったのは、崇高な探求心のたまものだったということになろうか。
少々長い引用になって恐縮ですが、ムツゴロウ先生の観察眼、旺盛な探求心には、ただただ感心するばかりです。
引用文献】

畑正憲『われら動物みな兄弟』角川書店 (1972年)

蟾酥(センソ)その二

ムツゴロウ先生のお話しを引用しながらセンソの薬理作用の説明をしていきたいと思います。
ムツゴロウ先生は「有名なのは、人の薬として古くから使われてきたことである。しかし、それもガマの風貌から連想された薬効であり科学的な根拠は薄いようだ」と書かれています。科学的な根拠が薄いという点については大いに異論がありますが、ガマの油が人の薬として古くから使われてきたことはまぎれもない事実です。中国最古の薬物書である『神農本草経』には「蝦蟆(がま)」として記載されており、これは現在のように皮脂腺の分泌物を集めて固めたものではなく、ガマガエルをそのまま陰干しにして薬として用いていたようで、疔(ちょう)や癰(よう)といった腫れ物に効くとされています。たしかに、腫れ物に外用するという使用方法は、現在も中国で行なわれているようですが、わが国では今のところあまり利用されておらず、科学的解明の検討はいまだしの感があります。
ただ、腫れ物を痛みという側面から見ると、センソの成分中には、歯を抜くときの麻酔薬として使われるコカインやプロカインと比較して、数十倍から数百倍の力価のある局所知覚麻酔成分(ブファリンなど)が含まれています。そのため、腫れ物のみならず、切り傷の痛みや歯痛などの痛み止めとして使われてきたのも、もっともなことといわなければなりません。最近わが国でも、この強力な局所知覚麻酔作用を再び歯科治療に利用しようという臨床報告もなされています。
「…カエルの粘液は、苦かったが、不思議にからだがシャンとなり、元気がでてきた。…あの日、わたしだけが好調に徹夜を乗り切ったのは、崇高な探求心のたまものだったということになろうか。」
このくだりは、センソの薬理作用の本質であるジギタリス類似の強心作用を端的にあらわしたものといえます。
センソの主成分は、ブファジエノライドと呼ばれる強心成分で、その構造はジギタリスなどの植物性強心成分であるカルデノライドと、一部(C17位につく不飽和ラクトンが5員環であるか6員環であるかの違い)を除いて、ほとんど同じです。例えば、ブファリンは不飽和ラクトン環を除けば、ジギトキシゲニンとまったく同じ構造になっています。ただ、不飽和ラクトンに6員環をもったブファジエノライドのほうが排泄が早く、蓄積性がないといわれています。
この排泄の早さの違いが、西洋でジギタリスが一般用の薬として今日流通せず、東洋でセンソがいろいろな処方に応用されて、広く用いられているという相違を生んだ1つの原因ではないかと考えられます。

カエル

センソ中にはブファジエノライドの同族体だけでも百種類くらいあり、含有量の多い順からシノブファギン、レジブフォゲニン、ブファリン、シノブフォタリン、ガマブフォタリン…と続きます。これらを作用の強さの面から見てみますと、一番強心作用の強いのがブファリンとガマブフォタリンで、これに次いでレジブフォゲニン、シノブファギンが強いといわれています。
これらの強心成分は、それぞれ特徴があり、例えば前にも述べましたが、ブファリンは強力な強心作用と共に、強力な局所知覚麻酔作用を持っています。また、レジブフォゲニンは強心作用と共に呼吸促進作用を持っており、医療用の呼吸興奮剤としても発売された実績があります。
【引用文献】

畑正憲『われら動物みな兄弟』角川書店 (1972年)
江部易広、日本歯科医療管理学会雑誌 22 (2):202〜206 (1988)
上海科学技術出版社―小学館編『中薬大辞典』小学館 (1985)
須賀俊郎、代謝 10:762〜774 (1973)

蟾酥(センソ)その三

「…ガマの油に発汗防止剤が含まれているのは確かだ。微妙な指先の感覚にたよるバイオリニストは、その昔、これを手に塗って演奏したといわれている。」
滅の恐れがある野生動植物の国際的取引を禁じたワシントン条約で、象牙の輸入は、密輸を除いて事実上不可能になりました。ピアノの鍵盤には象牙がもっともよく、象牙が適度に汗を吸い取り、指が鍵盤で滑らないからだといわれています。これと同じで、というよりもさらに、バイオリニストも手指の発汗には神経を使うのではないでしょうか。今日では、簡便な制汗剤ができたためか、この方面でのセンソの需要は聞きませんが、ドイツのバイオリニストは演奏前にガマの分泌液を塗り発汗防止に利用した、とM・ディッカーソンという人の著書にあるようです。
センソの発汗防止作用は、含有成分の1つであるエピネフリン(アドレナリン)の血管収縮作用によるのか、その他の成分によるのかは定かではありません。ムツゴロウ先生は「微妙な指先の感覚にたよるバイオリニストは」と書かれていますが、これはガマの油を愛用したバイオリニストに聞いてみるしか方法はないでしょう。
ムツゴロウ先生のお話に沿って、局所知覚麻酔作用、強心作用、発汗防止作用というセンソの薬理作用の一部を紹介しましたが、センソにはこれ以外にも多くの薬理作用が報告されています。
例えば、抗炎症作用ですが、センソは炎症の初期モデルである血管透過性亢進に対して抑制作用を示し、後期モデルである肉芽形成抑制作用も示します。これは、センソが炎症のすべての過程で有効に作用するということです。中国での使用法の中心である腫れ物への用い方は、局所麻酔作用にともなう鎮痛作用を合せもっていることを考えあわせると、センソは素晴らしい抗炎症剤であるということが科学的に証明されているともいえるでしょう。
センソには強心配糖体の他に、エピネフリンやブフォテニジン、ブフォテニンといった塩基性の成分の存在が知られています。これらは、最近では、センソの薬理作用の本体とは考えられていませんが、センソの作用の一部を担っていることは間違いありません。副腎髄質ホルモンであるエピネフリンは、例えば交通事故などで人がショック状態に陥ったときに投与すると、心拍数を増加させ、心収縮力を強めて、急場をしのいでくれます。しかし、残念ながら口から服用しても、消化管や肝臓で分解されてしまうため、注射や点滴でないと効かないことがわかっています。
ただ、エピネフリンは末梢血管の収縮作用を持っていますので、外用すれば効くことも事実です。ですから、切傷や擦り傷など末梢血管からの出血であればたちどころに止まるという陣中膏ガマの油の香具(やし)師の口上もまんざらデタラメではないわけです。 ガマは古来、その容貌が怪異なため、なにかしら霊性をもつ生物とみなされ、さまざまな言い伝えや、物語に登場します。中国明代の薬物書である『本草綱目』には、「千年を経たガマは頭の上に角があり、お腹のところに赤い斑紋がある。…
もし、人間がこれを捕まえて食べれば仙人になれる。方術士はこれを捕まえてきて霧を起こし、雨を祈り、軍隊をしりぞけ、縛を解く」という話が紹介されています。ガマが千年生きるというのは怪しい話ですが、上記のガマの成分の1つ、ブフォテニンは幻覚剤として有名な、麦角アルカロイドから合成されたLSDとよく似た薬理作用をもっており、その幻覚作用はキノコの一種に含まれているムスカリンとよく似ているとの報告があります。センソを服用しても幻覚作用は現われませんが、こんな成分が含まれているということも、ガマと妖術が関連付けられる一因なのかもしれません。
【引用文献】

畑正憲『われら動物みな兄弟』角川書店 (1972年)
上海科学技術出版社―小学館編『中薬大辞典』小学館 (1985年)
市川衛『蛙学』裳華房 (1954年)
須賀俊郎、代謝 10:762〜774 (1973年)
鈴木真海―木村康一『新註校定国訳本草綱目』 (株)春陽堂書店 (1979年)

蟾酥(センソ)その四

ガマだけではないガマの油

ガマから分泌されるブファジエノライドは、ガマガエル特有な物質かと思われていましたが、最近の研究ではガマ以外の動物にも含まれていることが分かってきました。わが国にも広く分布しているヤマカガシやホタル、といってもこれは源氏蛍や平家蛍ではなくアメリカのホタルですが、ツグミ(小鳥)がある種のホタルを食べないことからホタルにもブファジエノライドが含まれている事が発見されています。ヤマカガシはつい最近まで毒ヘビには分類されていませんでしたが、ガマの皮脂腺からの分泌物と同じ成分を持っていることと共に、ここを間違えないで頂きたいのですが、ガマの分泌成分とは別の、強力な毒物質を持っていることが分かっています。
その毒性は、マウスに静脈注射で与えて、マムシやハブのLD50と比べてみますと、ヤマカガシが5.3μgに対して、マムシとハブはそれぞれ、16μg、54μgとなっており、ヤマカガシの毒性はハブの約10倍、マムシの3倍という強力なものだということが分りました。では、なぜ最近までヤマカガシが毒ヘビに分類されていなかったかといいますと、ハブやマムシは上顎の所に毒牙があり、咬まれるとすぐに毒が注入されるのに反して、ヤマカガシの毒牙は上顎の奥にあるため、よほど深く咬まれないかぎり毒は注入されず、普通は咬み傷だけですんでいたためだろうと思われます。ただ、死亡率で比べてみますとハブは、百人に一人、即ち一パーセント、マムシは千から千五百人に一人といわれ、この差は、一回の毒の注入量、ヘビ自体の攻撃性の差などによるといわれています。

ガマににらまれたヘビ

ところで、長々とヘビ毒の話をしてまいりましたのは、ヘビがガマを飲み込むのか飲み込まないのか、という疑問があるからです。無論、普通のカエルは、「ヘビににらまれたカエル」というくらいですから、ヘビの格好の食糧であることは間違いありませんが、それでは、ガマも同じかといいますと、ヘビもガマは食べないという説と、いや飲み込むという説に分かれるようです。飲み込まない説、これが従来の正統説で、ガマガエルは外敵から自身を守るためにあんな分泌物を出すのであって、誤ってガマを飲み込んでアワを吹いているヘビを見たことがあると、戸木田菊次先生(東大)が『カエル行状記』の中に書かれていますが、『蛙学』を書かれた市川衛先生(京大)は、ヘビは平気で飲み込んでしまうと書かれています。一体どちらが正しいのか、…多分どちらも正しいのだと思います。
「児雷也」歌川豊国
早稲田大学 演劇博物館所蔵
ガマ2匹と普通のカエル3匹を一つの袋に入れておくと、2時間後には普通のカエルは瀕死の状態になってしまうのに、ガマの方はなんでもないという事実があるそうです。ということはブファジエノライドを持っているガマ自身や最近ブファジエノライドを持っていることが分ったヤマカガシも、ブファジエノライドに対しては、かなり耐性があるということではないでしょうか。ですから、泡を吹いていたのはアオダイショウかなにかで、平気で飲み込んでいたのはヤマカガシだったのでしょう。

歌川

昔、自来也(じらいや・地雷也とも書く)という妖術を使う盗賊の話がありましたが、その中に自来也が操る大ガマと大蛇の対決がでてきます。この対決は、結局大ガマが勝つわけですが、この大蛇はヤマカガシではなかったのでしょう。
さて最近興味深い研究報告が米科学アカデミー紀要の電子版に掲載されました。それは、ヤマカガシはガマを食べて、その毒を体内に取り込み、首の特殊な器官に蓄え、外敵から身を守るのに利用していることが分かったというものです。
この器官は頸腺(けいせん)と呼ばれ、頭の後ろの骨の両脇に十数対並んでいて、約70年前に発見された際には機能が不明でしたが、京都大の森哲・助教授らが10年前から調べた結果、ワシなどに襲われて急所の首をつかまれた際、この毒液を放出して撃退するのに使うことが分かったそうです。なんとも自然界は奥が深く、未知なる世界が広がっているのでしょうか。
【引用文献】

釜野徳明、化学と工業 39:294 (1986)
大橋教良、他、月刊薬事 32:1674 (1990)
市川衛『蛙学』裳華房 (1954)
戸木田菊次『カエル行状記』技報堂 (昭和37年)
後藤淳郎、医学のあゆみ 149:142 (1989)
D.A.Hutchinson, A.Moriら、Proc.Nat. Acad.Sci. USA 104:2265〜2270 (2007)

蟾酥(センソ)その五

ガマとヒトとは親戚?

これらガマ以外の生物から採取されたブファジエノライドは、従来のものと少し構造が違うものもあり、これらをもとにした新薬の研究も期侍されています。
ところで、ヤマカガシやホタルにもブファジエノライドが含まれているという研究結果をご紹介したわけですが、どうも人間さまも、ひょっとしてガマの皮脂腺からの分泌物と同じような成分―これを内因性ジギタリス様物質というようですが―を体内に持っているかもしれないということが話題になっていました。
内因性ジギタリス様物質は、物質としての量がわずかであることもあって、その物質を分離して、その物質が何であるかを確認する作業は困難を極めましたが、1990年秋、アメリカのブラウシュタインらの研究グループが大量の副腎組織からジギタリス様物質を精製し、構造を決定したところ、ウアバインであることが判明しました。ウアバインはキョウチクトウ科の植物ストロファンツスから取れるG-ストロファンチンとも呼ばれる強心成分で、これが内因性ジギタリス様物質として最初に確認されたものとなりました。最初に確認されたと書きましたが、その後、ジゴキシンが確認され、19-ノルブファリンが白内障患者の水晶体から、3β-ヒドロキシ14α20:21-ブファジエノリドがヒト胎盤から、ユリ科の植物、海葱(かいそう)の成分であるプロスシラリジンAがヒト血漿から、マリノブファゲニンが急性心筋梗塞後のヒト尿中から、つい最近ではテロシノブファギンが腎不全患者の血漿から発見されています。ウアバインとジゴキシンとプロスシラリジンAは基本的には植物由来成分ですが、残りの4成分はガマ由来成分ですから「ガマとヒトとは親戚?」というのは嘘ではないことが証明されたわけです。ではなぜヒトがそんな物質を体内で作っているのかというと、体内のナトリウムを排泄するための仕組みの一部だといわれていますが、全貌が明らかになったわけではありません。
ともあれ、ガマの耳腺の分泌物(センソ)の研究は、西洋近代科学の手法を用いた研究だけでも一世紀以上にわたる長い歴史があります。ガマガエルの腺分泌物には、様々な薬理作用がありますが、その中のかくれた作用として、研究者を中毒させるという不思議な作用があるのかもしれません。
【引用文献】

M.Dvelaら、Pathophysiology 14:159〜166(2007)

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