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2021年12月06日 [除霊]

NO320・・・14 風がふけば

インドスピリチュアル寓話(ぐうわ)
14 風がふけば 

アクバル帝の「九つの真珠」のなかで、もっとも賢人ぶりを発揮するのがビルバルである。
あるとき、宮廷の床に一本の線を描いて、アクバルが言った。
「この線を消さないで、短くできるか?」

 人々が途方にくれるなか、ビルバルのばんになった。 ビルバルはアクバルが描いた線のとなりに、一本の長い線を描いた。 そのため、最初の線は短くなったように見えた。
「なるほど、触れられずして最初の線はみじかくなった」 と人々はうなずきあった。
また、あるとき、アクバルはとなりに座っていたビルバルの頬を、突然平手打ちにした。

 アクバル帝はすこし風変わりな人だったが、王に理由を問いただすわけにはいかない。しかし、これほど多くの面前で平手打ちにされて、ただ黙っているわけにもいかなかった。宮廷はシーンと静まりかえって、ビルバルの対応に注目した。 ビルバルは一瞬考えたあと、振りむきざまに彼のとなりにいた男の頬をおもいきり叩いた。その男も驚いたが、もはやビルバルが道を開いたようなものだ。彼もすぐさまとなりの男を平手打ちにした。平手打ちはつぎつぎと順送りされていった。

 それを見て、アクバルがたずねた。
「これはいったいどういうことなのだ?」
ビルバルがにっこり笑ってこたえた。
「明日の朝までにはわかります」

 こうして、<自分より下位のものを突然平手打ちにする>というゲームがはじまり、その日一日、街中をかけめぐった。街は一種の祭り状態になり、人々は興奮し、おおいにこのゲームを楽しんでいるようすだった。
その夜、アクバルが寝室に入ると、突然、女王が彼の頬を平手打ちにした。
「どうしたのだ!?」

 驚いたアクバルがたずねると、女王が笑って、こたえた。
「街中がこのゲームでわきたっています。私もたたかれました。今度はあなたのばんです」
帝王といえども妻には弱い。 翌日、アクバルが言った。
「まったく不思議だ。私自身の平手打ちが、街中をひとめぐりして、また私のところに戻ってきた」

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