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2021年08月28日 [除霊]

NO283・・・10. ライオンの咆哮(ほうこう)

羊飼いは、毎日羊の群れをつれて、森や草原を歩きまわっていた。 あるとき、川辺で羊たちに水を飲ませていると、薮のかげから小さな動物の鳴き声が聞こえてきた。 不審に思って声のするほうに行ってみると、一頭のライオンが死んで、横たわっていた。そして、そのそばに、生後まもないライオンの子供が、死んだ母親にすがりつくようにして泣いていた。

羊飼いはかわいそうだと思って、ライオンの子をつれてかえり、それを羊の群れのなかにいれて育てた。 ライオンの子は、ほかの羊たちと同じように育てられた。 そして、彼はミルクを与える羊を母親だと思い、一緒にミルクを飲む羊を兄弟だと思いながら成長した。
大きくなるにつれ、ライオンの子は、自分がほかの羊たちと少しちがっていることに気づきはじめた。 たてがみのところにふさふさした体毛はある。だが、ほかの羊のように全身をおおっているわけではない。声も低音で、すこし奇妙だ。それになにより、草を食べてもちっともおいしいと思わない。
羊は一日中草を食べて満足しているが、ライオンはそうではなかった。 まわりの羊たちは、彼を<病気の羊>という目で見ていた。
ある朝、羊たちはいつものように草原に散らばって、草を食べていた。 そこに一頭の大きなライオンがやってきた。 薮に隠れて、羊たちに近づきながら、群れに襲いかかる瞬間を確かめるように、羊の群れを眺めた。

大きなライオンは、そこに信じがたい光景を見いだした。 羊の群れのなかに一頭の若いライオンがいるのだ。 まわりの羊たちはその若いライオンを怖がるわけでもなく、一緒に草を食べながらたわむれている。 大きなライオンは自分の目を疑った。 こんな光景は今まで見たこともなかったし、聞いたこともなかった。
大きなライオンは藪から飛び出した。
「ライオンだ!」

羊たちは四方八方に逃げはじめた。自分を羊だと思っている若いライオンも、みなと同じように必死に逃げた。 大きなライオンは羊たちには目もくれず、若いライオンにむかって一直線に走った。 若いライオンも全速力で走ったが、大きなライオンの足にはかなわなかった。
彼はつかまってしまった。 恐怖で全身をおののかせながら、若いライオンは泣いて許しをこいはいじめた。
「おー、どうか私を食べないでください。お願いですから、みんなのところへ返してください。メエー、メエー」
自分を羊だと思っている若いライオンは、必死に嘆願した。 大きなライオンは、若いライオンを押さえつけながら言った。
「なにをバカなことを言ってるんだ! おまえは自分を羊だと思っているようだが、ほんとうはライオンなのだぞ」
若いライオンは意味がわからないという顔つきで、言った。

「私は羊です。生まれたときから羊の母親のミルクを飲み、兄弟たちと草を食べながら生きてきました」
言葉で説明しても無理だと思った大きなライオンは、若いライオンを近くの沼までひきずっていった。
「目を開いてよく見ろ! 私の姿とおまえの姿を見れば、 同じだということがわかるだろう」
若いライオンは、水にうつったふたつの動物の姿を見た。 それは驚きだった。 水面にうつっている自分の姿はほんの少し小さいというだけで、大きなライオンの姿とまったく同じものだったからだ。

若いライオンは、その瞬間、すべてを理解した。
長いあいだ、自分でもなにかがおかしいと思っていた。 いくら羊たちのようにふるまっていても、そこにはぴったりおさまりきれないもどかしさ、苦しさ、葛藤があった。 一陣の風が吹き、彼ははっきりと自分自身を認識した。 すると、内側から大きな力が湧きおこってきた。そして、それは耐えがたいほどの強烈さで爆発した。
若いライオンは全身をブルルッとふるわせると同時に、「ガオー!」というライオンの雄叫(おたけび)びをあげた。 それは、本来の自分自身を知った歓喜の雄叫びだった。

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